システムを支えるインフラ構築とは? 基礎知識や手順、注意点を解説

ITシステムを支える土台であるITインフラ。クラウド活用が進んだ今日でも、システムを開発する上でITインフラの設計・構築は必要不可欠です。本記事では、そもそもITインフラとはどのようなものなのか、その構築の流れや注意点などについて解説します。

ITインフラとは

ITインフラとは、IT環境の基盤となる設備や構成のことです。そもそもインフラには「基盤」や「土台」という意味があり、一般的によく使われる「生活インフラ」という言葉には電気やガス、水道などが該当します。生活インフラが生活するためになくてはならないものであるように、ITインフラはITシステムを提供/利用するために欠かせないものです。またシステムに必要なインフラ環境を設計・構築することを「インフラ構築」と言います。

ITインフラの構成

システムを分解するとインフラとアプリケーションに分けられ、土台となるインフラの上でアプリケーションが動作しているイメージとなります。さらにインフラは、ハードウェアとソフトウェアに分けられます。

ハードウェア

ハードウェアは物理的な機器のことを指します。ITインフラでは具体的にパソコン、サーバー、ネットワーク機器、ストレージなどが該当します。

ソフトウェア

ソフトウェアは物理的な実体を持たず、コンピューターを動作させるために必要な命令を下すプログラムのことを指します。ITインフラではWindowsやLinuxなどのOSや、Apache(Webサーバー)やMariaDB(データベース)などのミドルウェアが該当します。

オンプレミスとクラウドの違い

従来のITインフラはハードウェアを自社で購入し、社内に設置して運用を行う「オンプレミス」が主流でした。オンプレミスは自由度が高く、自社に合わせた柔軟なカスタマイズができるというメリットがあります。一方、ハードウェアの調達に時間がかかること、機器の調達や構築にかかる初期コストが高いことや、柔軟性や拡張性に欠け運用開始後の変更が難しいこと、メンテナンスや障害発生時の対応などの運用負荷が高いことなどが課題とされています。

そこで近年はオンプレミスから「クラウド」へインフラ環境を移行する企業が増えてきました。クラウドはオンプレミスと違い自社でハードウェアを購入・管理する必要がなく、インターネット経由で必要なときに必要な分だけインフラをサービスとして利用できます。ハードウェアから仮想化基盤までの運用・保守をクラウドベンダーが請け負うため、ハードウェア調達・構築にかかるリードタイムと初期費用の削減や、インフラのメンテナンスなどにかかる運用負荷の軽減が可能です。また環境の変化に合わせて柔軟にリソースを変更することも容易です。ただし、第三者が提供するサービスのため障害が発生した際に自社では状況の把握やコントロールできないことや、自社閉域網内での利用が前提だったオンプレミスに比べて新たにネットワークセキュリティを検討する必要があるなどのデメリットも存在します。

オンプレミス・クラウドのどちらを採用するかは自社の要件に合わせて選択すべきです。またシステムの特性に応じて両方を使い分けて環境を構築するという手段もあります。

インフラ構築の流れ

実際にインフラはどのような手順で構築されるのでしょうか。一般的なインフラ構築の流れについて解説します。

要件定義

まず導入するシステムが求めるインフラの要件を明確にし、必要とされる仕様や構成、システムの監視・運用体制の検討、セキュリティポリシーの制定などを行います。オンプレミス・クラウドどちらの環境に構築するかもこの段階で決定します。

設計

要件定義をもとに具体的な設計を行います。求められるサービスに対して最適な規模で構築できるよう、サーバースペックやリソースのサイジング、必要な設定を検討し設計書を作成します。また運用するシステムの特性に応じたセキュリティ対策についても決定します。ここで決定した内容を、実際の構築作業時に参照する手順書やパラメータシートなどに落とし込みます。

構築

前段で準備した設計書やパラメータシートに基づいて実際に構築を行います。オンプレミスの場合はハードウェアの設置・設定やネットワークの配線など物理的な作業を伴いますが、クラウドを利用する場合は基本的にPC上の操作のみで構築が可能です。

具体的にはサーバのBIOS設定や、ストレージのディスク関連の設定、OSのインストール、ネットワーク設定、アクセス制御、アカウント設定、セキュリティ設定、ミドルウェアのインストールと各種設定など、アプリケーション開発以外の基本的な設定を全て行います。

テスト

設計書通りにインフラが稼働するかテストを行います。テストにあたっても、まずはテストの目的、合格基準、スケジュールなどをテスト計画書として取りまとめます。そこから実際のテスト内容を記載したテスト仕様書を作成し、検証する流れとなります。
テストは以下のように段階に分けて行うことが多いです

  • 単体テスト:個別の機器/ソフトウェアが問題なく動作することを検証する。
  • 結合テスト:複数の機器/ソフトウェアを組み合わせ、想定どおりに機能が動作することを検証する。
  • システムテスト:本番に近い環境で動作や負荷を検証する。インフラのシステムテストとしてはパフォーマンスを測る性能試験や、想定される負荷に耐えられるか検証する負荷試験などが挙げられる。

インフラ構築における注意点

インフラ構築を行ううえで注意すべきポイントについて解説します。

安全性

もっとも優先すべきことは安全性です。サイバー攻撃は増加の一途にあり、きちんと対策がされていないと脆弱性をついて企業のシステムへ不正アクセスされる可能性があります。サーバーには企業の資産である重要な情報が保存されているため、機密情報が漏えいした場合は大きな問題になり社会的な信用を失いかねません。インフラの安全性はもっとも優先して整備すべきでしょう。

耐障害性

システムの障害を完全に防ぐことは難しいため、障害に備えた対策は必ずしておきましょう。現在使用している機器にトラブルが生じた場合に予備の機器が稼働する冗長構成にする、データの損失に備えてバックアップを取っておく、などシステムの停止時間を短くして復旧を早めるための対策は企業活動において重要です。

快適性

インフラの処理能力はシステムの動作に影響し、動作が遅ければユーザのモチベーションや生産性が低下してしまいます。快適に使えるよう機器の性能やリソース、ネットワークの速度、負荷分散できる構成などに注意しましょう。

インフラ構築をアウトソースするメリット

インフラ構築には専門的な知識や技術を必要とします。社内のリソースに不安がある場合、専門業者にアウトソースする手段も有効です。インフラ構築をアウトソースする具体的なメリットについて解説します。

質の高いインフラ構築が可能

インフラ構築の実績のある専門業者にアウトソースすることで、幅広い知識による質の高いインフラ環境の構築が期待できるでしょう。また専門家の視点からアドバイスを受けることもできるため、社内に専門知識を持つ人材が不足している場合も相談しながら自社に適した環境を選択することが可能です。

リソースの有効活用

インフラ構築業務をアウトソースすることにより社内の担当者の業務負荷を削減できます。空いたリソースを企業にとってより重要なコア業務に投入することが可能になり、人材の有効活用につながります。

コスト削減

社内でインフラ構築を行う場合、専門知識を持つエンジニアを確保する人件費や教育費、設備費などが発生します。専門業者にアウトソースする場合も費用は発生するものの、従来かかっていたコストと比較すると削減できる可能性があります。

まとめ

ITインフラはシステムを稼働させるために欠かせない基盤となるものですが、構築するには安全性や可用性など考慮すべきポイントがたくさんあります。またオンプレミス・クラウドのどちらを選択するか、システムに求められるセキュリティー基準をクリアするためには何をすべきなのかなど、自社に適した環境を構築するには専門的な知識が必要です。安全で快適なインフラ環境の構築や業務負荷の軽減を叶えるために、専門業者へのアウトソースも検討してみてはいかがでしょうか。

「ベアサポート」では、監視運用の代行だけではなく、インフラの初期構築や監視設計・導入、セキュリティソリューションの導入・運用なども可能なため、インフラ運用に関することは何でも相談可能です。ITインフラに関する課題をお持ちであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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